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「小笠原諸島の土壌生物失踪事件、その犯人はヒモムシ!」解説トーク

「小笠原諸島の土壌生物失踪事件、その犯人はヒモムシ!」解説トーク

今回のニュース

世界自然遺産の小笠原諸島の生態系に、1種類の外来種のヒモムシが深刻な影響を与えていると東北大などの研究チームが明らかにした。落ち葉などの分解を助ける生き物がほぼ全滅しており、長期的には森林の環境に影響が出るおそれがあるという。

1980年代以降、父島と母島の広い範囲で、落ち葉などの分解を助けるワラジムシやヨコエビなどがほぼ全滅したが、原因は不明だった。今回、土の中の生物の種類やそれぞれが何を食べているかを調べた結果、80年代初頭に小笠原に侵入した外来種のヒモムシが、ワラジムシ、ヨコエビやクモ、昆虫などを食べていたとわかった。

このヒモムシは体長2~6センチ。熱帯、亜熱帯の島で広く生息するヒモムシと考えられていたが、生態がよくわかっておらず、別種の可能性もあるという。

研究チームの大学院生篠部将太朗さんは「このヒモムシは食酢で駆除できる。生息範囲を広げないため、小笠原諸島で遊歩道に出入りするときは、設置されている食酢を噴霧し、靴底の泥を落としたり、荷物の確認をしたりしてほしい」と話した。

引用:朝日新聞(2017年10月6日)

トークに登場する人

ヒロトヒロト…都会に住む。動物が大好き。
ユウナユウナ…田舎に住む。動物が大好き。
ハカセハカセ…動物に詳しい。正体は謎。

トーク・スタート!

土は大切です

ユウナ
今回のニュースは小笠原諸島の話だね

ヒロト
世界自然遺産にも登録されているんだよね

ハカセ
そのとおり。「東洋のガラパゴス」とも呼ばれるほど、この島にしかいない貴重な生物がたくさん生息している

ユウナ
一度、行ってみたいなぁ

ハカセ
ところで生態系でたくさんの生き物が暮らすために必要な「大切なもの」ってなんだと思う?

ヒロト
う~ん、きれいな水とか、空気とか?

ユウナ
木じゃない? 緑がたくさんあるほうがいいもん

ハカセ
どれも正しいね。でも忘れているものがある

ヒロト
なに?

ハカセ
「土」だよ

ユウナ
つち? 土なんてどこにでもあると思うけど

ハカセ
いや、土っていうのは凄い大事な役割を担っているのだよ。それが「物質循環」だ

ユウナ
ぶっしつじゅんかん?

ハカセ
この世界はいろいろな物質で構成されている。水とか、もっと小さいものだと酸素や炭素とか

ヒロト
うんうん

ハカセ
そういう物質はぐるぐる世界を循環しているんだ。例えば、植物を食べた草食動物は糞をする。または肉食動物に食べられる。じゃあ、その糞や動物の死骸はそのままだろうか?

ユウナ
そのまま残ったらどんどんたまっていくし、大変なことになる!

ヒロト
糞や動物の死骸は分解されるんだよ

ハカセ
そう、その分解をしているのが土だ。厳密には土に住んでいる土壌生物が分解をしている

ユウナ
へぇ~、土壌生物ってどんな生き物?

ハカセ
わかりやすいものだと、ワラジムシとかミミズとかだね。ほんとはもっと小さい土壌生物が土にはそれこそ無数に存在しているんだよ

ヒロト
そこまで気にしたことなかった…

ハカセ
土壌生物が豊かな土は生態系には欠かせないんだ

小笠原諸島の土壌生物が消えた

ユウナ
じゃあ、自然いっぱいの小笹原諸島には土壌生物もいっぱいなんだね!

ハカセ
ところがその土壌生物が消えちゃったらしいんだ

ヒロト
消える?

ハカセ
うん。1980年代以降、急速に減少したことが研究者によって明らかにされている。父島ではほぼ消滅、母島でも大半の地域で激減したそうだよ

ユウナ
そんなに!?

ヒロト
土壌生物の「集団失踪事件」だね

ユウナ
ほかの場所から土壌生物を移してこれないの?

ハカセ
小笠原諸島にはここにしか生息していない固有の土壌生物もたくさんいるから、安易によそから他の土壌生物を持ってこれないんだ

ヒロト
それで犯人は?

ハカセ
最初はオオヒキガエルという外来種のカエルのせいだと考えられて、駆除も行われたのだけど、土壌生物は復活しなかった

ユウナ
オオヒキガエル、濡れ衣だね!

ハカセ
いや、オオヒキガエルは他にも昆虫などに悪影響を与えていたから駆除には意味があったのだけどね

ヒロト
オオヒキガエルは「集団失踪事件」では無罪。じゃあ、真犯人は?

ハカセ
それが今回発表されたヒモムシだったんだ

影の犯人、ヒモムシ

ヒロト
ヒモムシって聞いたことないなぁ

ハカセ
うん。マイナーだよね。ネットで画像を検索するといいよ

ユウナ
どれどれ…うぇえ! キモ!

ヒロト
うわ~、これは見たくないな…

ユウナ
グロ画像だった…

ハカセ
あ、なんかごめん

ヒロト
でもヒモムシは何の仲間? 見た感じ、ミミズとかヒルとかみたいだけど

ハカセ
ヒモムシはミミズやヒルの仲間ではない。ヒモムシはヒモムシだ

ユウナ
説明になってないよ!

ハカセ
分類学的には「紐形動物」に分類されるんだ。大半は海に暮らしている

ヒロト
海? でも…

ハカセ
今回、問題になったのは陸生のヒモムシの一種で、外来種だ

ヒロト
なんでこのヒモムシが犯人だと?

ハカセ
実験したらこのヒモムシがいろいろな土壌生物を捕食することが判明。しかも、このヒモムシが小笠原諸島に侵入したのが1980年代だった

ユウナ
時期も一致しているね!

ハカセ
このヒモムシは、毒針のついた銛のような器官を口から水中銃のように発射して、獲物に打ち込んで殺し食べるんだ

ヒロト
暗殺者みたい…

ユウナ
そんな怖い生き物なら、もうちょっと早く気づけなかったの?

ハカセ
過去の研究では、ワラジムシなどは食べないとされていたから、ノーマークだったみたいだね。しかも、このヒモムシは「オガサワラリクヒモムシ」と呼ばれていたんだ

ヒロト
あれっ、外来種だよね。ってことはその地域の外から来た生き物のことでしょ。でもそのヒモムシの名前が「オガサワラ」なの?

ハカセ
名前をつけたときは外来種だとは思わなかったのだろう。というか、このヒモムシは本来のオガサワラリクヒモムシとは別種である可能性が高いそうだ

ユウナ
じゃあ、なりすましだ!

土にも関心を持って

ヒロト
駆除しないと!

ハカセ
でも忘れないでほしい。駆除すれば解決という話じゃない

ヒロト
どうゆうこと?

ハカセ
これは私たち人間の責任だ。30年もの間、この外来種を見過ごしてきたわけだし。それにみんなも土のことなんて考えてなかったでしょう?

ヒロト
うん…そうだね…

ハカセ
これからは足元の土にも関心を持ってほしいな

ユウナ
わかった! 毎日、土を見ながら歩くよ!

ハカセ
いや、前を向いて歩いてね…

  • 土の中の土壌生物も守ろう

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