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「襲われる被害も15年ぶりに発生!岡山県はツキノワグマとどう付き合う?」解説トーク

「襲われる被害も15年ぶりに発生!岡山県はツキノワグマとどう付き合う?」解説トーク

今回のニュース

2018年6月21日午前10時ごろ、美作市真殿の山中で、津山市の男性がツキノワグマに襲われたと、美作市に連絡があった。男性は右腕を爪で引っかかれ全治2週間のけがを負い、逃げる際に右太ももを負傷した。岡山県内で人がクマに襲われたのは、2003年8月に美作市後山で登山客がけがをして以来で、15年ぶり2件目。

男性や県美作県民局などによると、男性は同日午前9時20分ごろ、供え物の植物を取りに実家の裏山に入った。数十メートル進んだ辺りで、木の上から音がして見上げると、体長1.2メートルほどのクマがおり、下りてきて襲われた。男性が持っていたつえを振って抵抗したため、クマは山中に逃げた。下山した男性は自分の車で市内の病院へ行って治療を受け、数針縫ったという。

県や美作市は花火による追い払いをし、看板設置や広報車による注意喚起を実施。美作署も周囲のパトロールをしている。県は22日、同市内で同署や関係市町村、猟友会などと緊急対策会議を開く。

引用:山陽新聞(2018年6月21日)

トークに登場する人

ヒロトヒロト…都会に住む。動物が大好き。
ユウナユウナ…田舎に住む。動物が大好き。
ハカセハカセ…動物に詳しい。正体は謎。

トーク・スタート!

岡山県では絶滅危惧種

ヒロト
山でいきなりクマに出会ったら怖いよね…

ユウナ
うちの爺ちゃんはクマと10回は戦ったことがあるって言ってたよ

ヒロト
え…

ユウナ
でもさ、岡山県では15年ぶりにクマに襲われた被害が起こったの?

ハカセ
遭遇はしているだろうけど、襲われたのは記録だとそうなっているよ

ユウナ
なんでだろう。クマなんてどこの地域でも襲ってくると思ってたよ

ヒロト
いや、それは地域差があるでしょ。でも、岡山県ではクマが珍しいだなんて知らなかったな

ハカセ
実は岡山県ではクマは絶滅危惧種だったんだ

ユウナ
そうなの?

ハカセ
「東中国地域のツキノワグマ」として「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されてきた歴史がある

ヒロト
じゃあ、ずっと保護されてきたの?

ハカセ
そう、1992年から狩猟の自粛が呼びかけられ、2000年に狩猟が禁止された

ヒロト
どれくらい少なかったの?

ハカセ
1992年の報告書によれば、岡山・兵庫・鳥取3県における東中国地域個体群の生息頭数は約150~200頭。1999年の報告では岡山県には、10頭程度と推定されていたよ

ヒロト
それは少ない…のかな?

ユウナ
10頭とか、うちの学校の1クラスの人数くらいだよ。インフルエンザに集団で感染したらお終いだね

ハカセ
まあ、病気はともかく、危うい個体数ではあるね

ユウナ
だから襲われるのもレアなんだね

ハカセ
ところが状況は年月が経つうちに変わってしまった

個体数が増えた?

ユウナ
状況が変わった?

ハカセ
2016年の推定生息数は、だいたい100~360頭と推定された。東中国地域個体群全体の生息数を算出すると730~2010頭になった

ヒロト
えっ、じゃあ10倍くらいに数が増えたの?

ハカセ
昔の個体数推定が正しいかどうかも怪しいから正直わからない。今よりも精度は低いと思う

ユウナ
それにしたって凄い変化だよ。うちの学校には入りきらないよ!

ヒロト
もうそれはいいから…

ユウナ
あれ、730~2010って凄い差がありすぎじゃない?

ハカセ
それくらい個体数の推定は難しいんだ。一応、統計的な解析によってある程度誤差を考慮しているけどね

ヒロト
どうやって数を計算するの?

ハカセ
これはちょっと皆には理解が難しいと思う。野生動物の生息数推定によく使われる「階層ベイズモデル」という方法を使うよ

ヒロト
う~ん、なんだそれ…

ハカセ
もう少し大人になって大学生になったら勉強できるよ。今のうちに算数をしっかり学ぼうね

ユウナ
算数…サンスウってナンノコトデスカ

ハカセ
あ、苦手なのか…

ヒロト
それでも正確な数は置いておいて、ここ最近で数が増えたってことだね

ユウナ
でもこの数って多いのかどうかよくわからないのだけど

ハカセ
詳しい説明は省くけど、800頭程度以上だと「安定存続地域個体群」だと環境省は定めているよ

ヒロト
だったら、もう絶滅危惧種ではないのかもね

ハカセ
しかも、単純に数が増えただけじゃない

ユウナ
何かあるの? 巨大化した?

ヒロト
いや、それはないでしょ…

ハカセ
出没地域と出没件数も増えている。つまり、分布地域が拡大して、人里にも現れるようになっている

ヒロト
そうか、なら被害も増えるのも当然だよね

狩猟を解禁したけど…

ヒロト
そこで対策が必要になるよね

ハカセ
うん、ずっと禁止されてきた狩猟を2016年に一部で解禁した

ユウナ
ハンター、大活躍だ!

ヒロト
そうなってくると、今度は数を減らしすぎてクマが絶滅するんじゃないかって不安になるよね

ハカセ
うん、その不安はわかるよ。でも問題ない

ユウナ
なんで?

ハカセ
いざ実際は全然クマは狩猟されなかったから

ユウナ
えぇぇぇ…

ハカセ
2016年の狩猟頭数はゼロだった。それとは別の有害駆除は12頭だった

ヒロト
なんで少ないのかな

ハカセ
ずっと保護してきたし、クマを狩猟しようという人はいなかったのかもしれない

ヒロト
それだったら、どうするの。狩猟する人を増やすことから始めないといけないような…。それって1年とかでできることじゃないよね

ハカセ
そうだ、そこが問題だ。保護してきた野生動物を今年から狩猟できるようにしますと変更するのは簡単だ。でも、人材を用意するのは簡単じゃない。体制が整わないうちにどんどん事態は悪化する

ヒロト
う~ん、困ったね

ユウナ
他の地域からハンターを集めてくる?

ハカセ
ハンターの人数は全国的に少ないし、確保は難しいだろうね

付き合い方を見直そう

ユウナ
どうすればいいのかな?

ヒロト
クマの生息する森を増やすのは?

ユウナ
それだってすぐにはできないでしょ。木はいきなり育たないんだから

ハカセ
そもそもそんな大規模な自然環境の創出は莫大なお金がかかるだろうね

ユウナ
打つ手なしだよ…

ハカセ
結局、万能な方法はないんだ。だから長期的な計画のもと管理(マネジメント)していくしかない

ヒロト
管理って?

ハカセ
管理と聞くと、個体数を増やしたり、減らしたりしてコントロールすることだと思う人が多い。でもそれは違う。「管理=捕殺」ではない。「管理=付き合い方を考えること」なんだ

ヒロト
付き合い方?

ハカセ
岡山県ではクマを保護してきた。その歴史は大切だ。でも今はそれだけでは人にとってもクマにとっても上手くいかない状況になっている。だから新しい付き合い方を考えないとダメなんだ

ユウナ
なんか倦怠期に入った夫婦みたいだね

ハカセ
そんな言葉、どこで知ったのかな…

ヒロト
やれやれ、それは狩猟をするとかの話ではなく?

ハカセ
うん、田舎の過疎化とか、地方と都市の経済格差とか、森林資源の利用方法とか、もっと広い視野でいろいろと考えなければならないことがある。それはツキノワグマと実は関係しているんだ

ヒロト
てっきりクマの数を増やしたり、減らしたりすればいいだけかと思ったよ

ハカセ
岡山県の話でしょと思っている人もいるかもしれない。でもこれは日本全国で起こっていることだ。ひとりでも多く関心を持ってほしい

ヒロト
考えるようにするよ!

ユウナ
倦怠期になったらね、まずプライベートの時間と二人の時間を見直すといいんだよ。気分転換しながら、最終的には一緒の目標を立てると良くて…

ヒロト
ああ、もう今回の会話は終わりにしよう…

  • 保護や狩猟だけではない。付き合い方を広い視野で見直そう
この記事は以下の資料を参考に書かれました
ツキノワグマ保護計画 | 岡山県

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