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「クマの突然の出没事件で麻酔銃が使えない理由」解説トーク

「クマの突然の出没事件で麻酔銃が使えない理由」解説トーク

今回のニュース

岐阜県高山市奥飛騨温泉郷の市立栃尾小学校(児童64人)にツキノワグマが侵入した。校庭でクマが見つかったのは2017年9月6日午前11時半ごろだった。職員室の教職員が校庭を走る黒い動物を発見。周辺でもクマの目撃情報はあったが、学校の敷地に入ったことは一度もなく、松井健治教頭は「動きがとても速く、初めは黒い犬が入ってきたと思った」という。

しかし、よく見るとクマだったため、すぐに110番通報し、教職員が手分けして校舎1階と体育館の全てのドアや窓を施錠。児童らを教室で待機させ、西隣の市立栃尾保育園にも事態を伝え、警戒を促した。

通報の約10分後に県警高山署員や市職員、飛騨猟友会高山支部のハンターらが到着。一時、クマを見失ったが、その後、校庭南側の木に登り、高さ約3メートルの枝の上で何かを食べているのを発見。最初は爆竹で追い払うおうとした。

「爆竹が鳴りますが、驚かないように」。学校は校内放送を流し児童らに知らせるとともに、保護者へも「クマが校庭に侵入し、警察の指導で校舎内に避難しています。安全は確保されています」とメール配信した。

ところが約10分後、署員から連絡があった。「爆竹で威嚇するとクマが驚いて校舎の方へ逃げたり、隣の保育園や宅地へ向かう恐れがある。子供たちの安全を最優先し、射殺します」。署の判断だった。

発見から約1時間後、猟友会のハンターが木に登っているクマに2発を発砲。息絶えて途中の枝でひっかかったクマを脚立を使って署員と猟友会員らが下ろした。クマは体長約1メートル、体重約100キロで、雄のツキノワグマの成獣だった。

クマは射殺されたが、学校の対応はその後も続いた。射殺から約30分後の午後1時過ぎ、保護者へ児童全員の無事をメール配信。緊急の全校集会も開いて小谷校長が児童らに「尊い命が失われてしまいましたが、自然の脅威がみなさんの身近にある」と語りかけた。児童は皆一様に黙ったままじっと耳を傾けていたという。

集会前に小谷校長が教職員らと協議し、「子供たちに嘘をつけない。安全を最優先して射殺された事実を伝えるべきだ」と判断したという。児童らはこの日、教職員が付き添って下校した。

翌日も学校は児童の心のケアに細心の注意を払った。登校前に小谷校長は不測の事態も想定して職員室で待機し、松井教頭は徒歩通学の校区内を車で巡り安全を確認。他の教職員らは通学路に立ち、登校の児童を見守った。市教委もスクールカウンセラーの派遣の用意を伝えた。

児童らに大きな動揺はなかったものの、今回の一件が報道やネットで伝わったため、学校や市にはクマを射殺したことに対する批判の電話が相次いだ。「麻酔銃を使う選択肢はなかったのか」「子供の目の前で射殺するなんて」「学校で射殺はいかがなものか」。こうした声だ。

これに対し、警察官職務執行法に基づいて射殺を判断した高山署の田口秀樹副署長は「人命、特に子供たちに危害を及ぼす事態には即座に対応しなければならない。校舎に入り込む危険や地理的条件など、やむを得ない状況が重なっていた以上、射殺は正当な判断だった」と話す。

市の担当者も「ご意見は理解できるが、市民の生命、財産を守るのも行政の責務。できれば殺したくなかったが、子供に被害が出ることは絶対に避けなければならなかった」と理解を求めた。

市によるとクマに限らず、有害鳥獣の捕殺には、常に数件の批判や苦情が寄せられるという。担当者は「命に関わることですから、皆さんの気持ちはよく分かる。たまに感情的な人もいるが、事情を説明すると納得してくれる」という。しかし、今回は小学校で児童の在校時でのできごととあって、市や小学校への電話やメールなどは計20件を超えた。ただそれらは保護者や地元の人からではなく、すべてが県外からだった。

引用:産経WEST(2017年10月12日)

トークに登場する人

ヒロトヒロト…都会に住む。動物が大好き。
ユウナユウナ…田舎に住む。動物が大好き。
ハカセハカセ…動物に詳しい。正体は謎。

トーク・スタート!

3つの対応策

ヒロト
小学校にクマってなんかスゴイ…

ユウナ
私の家の近くではよく畑にクマがでるよ

ヒロト
へぇ。それにしても撃ち殺すのはやっぱり可哀想だよ

ハカセ
そうだね。そういう批判も少なくない。まあ、それはいつもクマの駆除のニュースではよくあることなんだけど

ヒロト
殺す以外に他に方法はなかったのかな…

ハカセ
こういう人間の暮らす環境に野生のクマが侵入した場合、対応策は大きく分けて3つある

ユウナ
3つ?

ハカセ
1つ目は「その場で駆除」。クマの場合は基本は銃を使って射殺することになるね。2つ目は「生け捕りにして、その後に駆除」。駆除は捕獲場所とは離れた場所で銃や薬などの手段で行う。3つ目は「生け捕りにして、遠くの山などに放つ」。いわゆる放獣と呼ばれるものだね。あとは囲んで追い出すという方法もあるけど、それはクマ相手には難しいので除外しよう

ユウナ
今回は1つ目の対応をとったんだよね

ヒロト
でも、3つ目の「生け捕りにして、遠くの山などに放つ」じゃダメだったの?

ハカセ
うん、確かにその方法をとるのが一番批判はないだろう。でも、今回はそうはいかなかったんだ

ヒロト

麻酔銃の誤解

ハカセ
今回の場合は突然クマが出没。しかも小学校内だ。つまり緊急を要する。これでクマが校舎に侵入したら一大事だ。すぐに対応しなければいけない

ヒロト
うんうん

ハカセ
ここで、クマを生け捕りにするにはどうすればいいと思う?

ユウナ
私の地元のハンターさんは前に大きいドラム缶みたいな罠で捕まえてたよ

ハカセ
そう、でも今回はそんな大掛かりなトラップをしかけている時間はない

ヒロト
麻酔を使えばいいんだよ。麻酔銃とか

ハカセ
それだ。今回の批判でもあったね。「なぜ麻酔銃を使わないのか」

ヒロト
本当だよ

ハカセ
これについては麻酔銃に対する誤解があるんだ

ヒロト
えっ?

ハカセ
麻酔銃っていうのは撃ってもすぐに眠るわけじゃない

ヒロト
えっ、でも漫画とかアニメとかでは麻酔で撃たれた人はすぐに寝てたよ

ハカセ
それはフィクション。オーバーな演出で、本当じゃない

ヒロト
嘘っ!?

ハカセ
そう、麻酔は撃ってもしばらく動物は動きまわる。効くまでに時間がかかるんだ

ユウナ
麻酔が効くのにどれくらいかかるの?

ハカセ
それは当たり所や動物の大きさにもよる。数十分かかるかもしれないし、効果が全くでないこともある

ヒロト
そうなんだ。でも動きは遅くなるよね

ハカセ
いや、そうとは限らない。もし、薬がうまく注入されなければ刺激を与えただけになる。ここで質問だ。もしいきなり不意打ちで注射を打たれたら皆はどうなる?

ユウナ
びっくりするよ! 私、注射嫌いだもん。パニックだよ!

ハカセ
そう、それはクマも同じだ。パニックになる。つまり暴れる危険性もあるんだ

ヒロト
そうか、それで小学校でクマが暴れたら余計に危険だね。あれっ、でも獣医さんなら麻酔も使い慣れているからそんな失敗はしないんじゃない? プロでしょ

ここでも人手不足

ハカセ
残念だけど、クマに麻酔を撃つトレーニングなんてしている獣医はほとんどいない。普通、獣医が扱うのはペットだからね

ユウナ
犬や猫とはわけが違うもんね

ヒロト
でもハンターならいるでしょ。やってもらえばいい

ハカセ
いや、そうはいかない。麻酔に使う薬というのは劇物なんだ

ユウナ
劇物?

ハカセ
危険な薬物ってこと。だから法律で規制されているし、扱うには専門的な知識と資格がいる。なので普通のハンターは麻酔銃は撃てない

ヒロト
そんなぁ…

ユウナ
麻酔銃を扱える人ってどれくらいいるの?

ハカセ
人数はわからないけど、あちこちにいるほど多くはない。そして、その人に連絡がついて現場に駆けつけてもらうまで何時間もかかる

ヒロト
早く現場で対応しなきゃいけないのに…

ハカセ
つまり簡単に言ってしまえば「人手不足」なんだ

ユウナ
よく聞くやつだ!

ハカセ
市町村に一人くらい麻酔銃を扱える人が常にスタンバイしていればいいけど、そんな人材もいないし、雇う余裕もないんだよ

ヒロト
そうなんだね…じゃあ、今回の射殺はやっぱり仕方がないのかな…

私たちにできること

ハカセ
忘れないでほしいのは、今回クマを射殺した関係者も決してクマを殺したくてしたことではないということ。やむを得ずなんだ

ヒロト
それはわかったよ

ハカセ
そしてクマを殺すなという意見も気持ちはわかるけど、その苦情だけでは状況は何も変わらないんだ

ユウナ
じゃあ、どうしたらいい?

ハカセ
人とクマの距離を適切に保つことが必要だ

ヒロト
とくに人里に近づけないことだね

ユウナ
どうやって?

ハカセ
クマを引き寄せるもの、例えば生ごみとか果樹などなるべく置かない。さらにハンターの存在でクマに「人間は怖いよ」と教える。もっといえば地方など田舎に人の数が増えればクマは近寄りづらくなる

ユウナ
田舎は人がすっくないんだよ…

ヒロト
でもそんなこと、できるかなぁ

ハカセ
やるしかない。人のためにも、もちろんクマのためにも

ユウナ
うんうん

ハカセ
あとは麻酔銃を扱える人が増えれば、射殺されるクマの数も少しは減るだろう

ヒロト
うん、わかった。僕も麻酔銃を扱える人間になるよ!

ハカセ
お、それはうれしいね。そのためには勉強が必要だ!

ヒロト
やっぱりか…

ハカセ
とくに理科と算数は絶対にマスターしないとダメだね。あと英語もできるとなお良しだ

ヒロト
ああ、うん、少しずつ頑張るよ…

ユウナ
がんばれ!

ヒロト
ユウナは何をするの

ユウナ
クマをおびき寄せてしまう食べ物を、私が全部食べるよ!

ヒロト
あっ、そう…

  • 野生動物に麻酔銃を使うのはデメリットも多い

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